「壁で爪研ぎをさせない工夫」を紹介します。
猫の爪研ぎ跡の壁や壁紙補修で、いろいろなお宅を拝見してきました。そこで、気付いたことをお話しします。
結論としては、「爪研ぎ」と「消臭剤」で現状よりは改善するかも知れません。

壁の損傷は2パターン

壁の損傷パターンは大きく2パターンあります。それぞれは猫の行動の意味が違うと考えます。
行動パターンを知って爪研ぎ対策に生かせられれば良いと思います

  • あるカ所を重点的にガリガリされている
  • 届く範囲で広く、まんべんなくツンツンと引っかかれている

重点的にガリガリ

あるカ所を重点的にガリガリされている場合は「爪研ぎ」が大きな目的だと思います。
他の理由を補足すると、猫の主張もあると思います。多頭飼いや一人の時間が長い場合は特に。
この場合は爪研ぎの設置を工夫すれば壁は守られると思います。

※爪研ぎの設置を工夫する方法は「壁で爪とぎしなくなる!かも?」を参考にして下さい。

まんべんなくツンツン

届く範囲で広く、まんべんなくツンツンと引っかれている場合は「縄張りの主張」が目的だと思います。
この場合は、なぜ縄張りを主張するのか1つ仮説が立てられます。
それは、「他の動物の臭いがするから」ということが考えられます。猫は縄張りの主張で爪研ぎをすることがあります。

ペット可の賃貸物件では当然のように以前の入居者が動物を飼っていたと考えられます。
壁紙や床をリフォームしてあったとしても、枠や巾木まで交換することは通常ありません。
フローリングであったとしても、掃除をしたからといって完全に臭いを消すことは困難に思えます。
フローリングのすき間にオシッコなどが染み込んでいても不思議じゃありません。
そもそも、壁紙を貼り替えているかどうかも怪しいです。
こうした以前の動物の臭いに反応して縄張りを主張している可能性があります。

対策の一つとして消臭剤をまく

以前いた動物の臭い対策として、入居前に消臭剤をまいておくのが有効だと思います。
以前に猫の臭いがきつい部屋を工事したことがあります。余りに臭いがきついので工事前にコンビニで市販の消臭剤(ファブリーズ)を買い、たっぷりまきました。翌日部屋に入ってみると、驚くほどに臭いが気にならなくなっていました。

この消臭効果は人間レベルの話であり、動物にどれだけ効果があるかは分りません。ですが、やらないよりやった方が良いのは自明です。

まんべんなくツンツンの壁紙補修は難しい

依頼のほとんどは重点的にガリガリされているカ所の補修です。そして、その補修が終わる頃にまんべんなくツンツンと引っかかれている壁紙を相談されます。
そういう状態の壁紙を補修するのは難しいです。そのほとんどは広範囲にわたり、壁紙の貼り替えが妥当だと判断するしかありません。

裏技として、手を使って壁紙のバリを落とす方法があります。この方法は目立たなくする手段であり、問題の解決ではありません。(ただ、これをやって難を逃れたお客さんもいます。)

しかも、この方法をお客さんに説明し、やってもらっても、私がやるように上手くできない。簡単なようで加減が難しい。お客さんにやる気がないだけかも知れませんが。

だから、まんべんなくツンツンと引っかかれる事態になることだけは避ける工夫をした方が良いと思います。

壁を守るための躾について

「動物に躾をする。」という考え方は悪くないと思います。
「カラスは怖い」「高いところは危ない」など危険のことを教えなければいけません。
そこで、動物の行動に関して躾ができるかどうかを考えていきましょう。

我が家の猫を例にすると、躾ができる行動とできない行動があるように感じます。
言い換えると、躾ができないのではなく「強制できない」と言う感じです。

強制できる躾

強制できる躾の例として、我が家の猫はテーブルの上に私のご飯があると、テーブルには上がりません。ご飯がないときは普通に歩き回ります。また、コードも齧りません。キッチンで盗み食いもしません。この躾は簡単でした。1回注意しただけでやらなくなりました。
その方法は動物のマネをして、動物になたつもりで、私が唸った(?)のです。
動物の世界では「他人の餌に手を出してはいけないと言うルールがある。」という説があります。動物の社会性の話です。
掟破りがいるのは承知していますよ!
ちなみにやり方は、口を横に「イー」として「グフ~」と喉を鳴らすのです。(言語化が難しいです。)
そもそもは、怒った猫のように「シャー」とやっているつもりだったんですが、冷静に自身を振り返ると「グフ~」でした。

ちなみに、あるお客さんの猫はガラスのゴムで爪を研いでいました。こう言う場合は「グフ~」とやった方が良いと思います。ちなみに、この猫におじさんが「グフ~」とやったら反応がありました。「グフ~」はどの猫にも使えるかも知れません。

強制できない躾

壁の爪研ぎに関して「注意では躾できない」と、はじめから考えていました。(そもそも、注意したことがありません。)
だから、あちこちに魅力ある爪研ぎを設置して壁や家具で爪研ぎをしないように工夫をしました。
この「工夫」が、ある意味では躾のひとつだと私は考えます。どちらかというとコントロールです。
現に、我が家の猫は、最初は壁や家具で爪研ぎしていましたが、まったくやらなくなりました。

2つの躾

「動物の世界にもルールもしくは道徳みたいなものがある。」と言う研究があります。
「動物は何も考えないで行動するのではなく、いろいろと考えて行動している。」と考えることは容易です。「知能」と「知性」もしっかり存在を感じることができます。そして記憶力も高い。

蛇足ですが、猫(猫に限らず動物)は皆が思っているより「知性や記憶力が高い」と感じます。その点を躾に利用すれば良いと私は考えています。

猫の行動に対して、こちら(飼い主)が間違えた行動を取らなければ、猫も混乱せずに、こちら(飼い主)望むような行動を取ってくれると私は考えます。

人間と猫の社会性(ライフスタイル)を発展させるのです。想像以上に賢く適応してくれると考えます。

調教(強制?)だけが躾ではなく、動物の行動を理解してコントロール(うながす)するという躾もあると思います。
これは、テンプル・グランデンを参考にしています。(面白いおばさんです。検索して下さい。)

※話を分りやすくするために「躾」と言う言葉をあえて多用しています。
文章中の「躾」の意味は2通りあり、一つは調教(指導)的な意味で、もう一つはコントロール(誘導)の意味で使っています。

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